給食費無償化のメリット・デメリットと今後の展望
2024.02.15
給食費の無償化は、社会的、経済的、教育的な観点から見ても多岐にわたる影響を及ぼす複雑な問題です。
給食費は月々の負担がさほどなくても、年間で算出すると高額になります。
小学校1年生から中学校3年生までの9年間支払い続けるとなると、家庭によっては家計を圧迫してしまうかもしれません。
ここでは給食費の無償化によるメリット、デメリットや今後の展望などを挙げておきます。
メリット
まず保護者側のメリットとして挙げられるのは、当然ながら給食費の負担がなくなる事です。
文部科学省が発表した学校給食実施状況等調査によると、令和3年度の小学校の給食費は月4477円、中学校では月5121円かかっています。
小学校ですと6年間で32万2344円、中学校ですと3年間で18万4356円が必要です。
支払いによる負担が大き過ぎると悩むかたも多いでしょう。
無償化が実施されれば毎月の支払いがなくなります。家計に余裕ができる為、低所得層の家庭には経済的なメリットが大きいと言えます。
次に、学校給食は子供たちに必要な栄養素を適切に摂取出来るように考えられています。
家庭によっては日常の食事から十分な栄養を摂取する事が難しい場合があり、学校給食は大切な栄養源です。
また、給食は適切な栄養の摂取によって子供たちの健康を促進する物であると同時に、食事についての正しい知識を学ぶ重要な教育の場です。
給食を通じて、子供たちは地域の特産物や自然の恵み、そして生命の尊さを学ぶ事が出来ます。
このような重要な機会をすべての子供たちが享受できる事も、給食費無償化のメリットと言えるでしょう。
デメリット
給食費の無償化が子供たちに与える恩恵は多大なものですが、同時に大きな財政的負担が伴います。
新たな財源を確保するには、他の公共サービスを削減するか、新たな税制を導入するなどの対策が必要となります。
その結果、保護者の負担が増える可能性があるという事も考慮しなければなりません。
また、給食費無償化に伴う財政負担の増加は食材費や調理費の削減を引き起こす可能性があり、給食の質や量の低下が心配されます。
新鮮で高品質の食材の使用が制限され、代わりに安価な食材が使用される可能性も考えられることでしょう。
そして、あくまで可能性ですが、給食費の無償化により、保護者の子育てに対する責任感や自立心が薄れるという見解があります。
国や自治体が給食費を負担する事により、子供への生活費の負担が軽減されると、保護者自身が子供を育てるという自立的な立場が損なわれる可能性があるという観点からです。
もちろん、これらは家庭の教育方針や保護者の価値観に左右されます。
ですので、この問題を一括りに評価するのは難しいですね。
展望
2023年3月に日本政府は「小中学校の給食費無償化」の検討を叩き台に盛り込む事を決定し、具体的な議論を始めました。
この動きにより、給食費の無償化へ向けた議論や活動が活発化しています。
給食費無償化につきましては、人口が多い都市部や財政状況が厳しい地域では導入が進んでおらず、地域間での格差が生じています。
現在、給食費無償化が実施されている地域はまだ少なく、地域差が生じている現状も見逃せません。
それぞれの地域や保護者、そして私たち国民の一人一人がこの問題に対してどう向き合い、何をすべきかを深く考え、行動を起こす事が必要と言えるでしょう。