マイナンバー制度について
2015.09.05
「マイナンバー」という言葉を聞いた事があるでしょうか?まるで宝くじやキャンペーンの様な響きですが、実は今年10月に住民票をもっているすべての皆様に発行される番号の事なのです。社会保障・税制の大改革の一端である「マイナンバー制度」についてご紹介いたします。 マイナンバーの目的 住民票を有する全ての方に番号を発行して、複数の機関に存在する個人情報が、同一人の情報であることを確認するために活用されるものです。情報の一元化によって「公平・公正な社会を実現」し、「国民の利便性」を高め、「行政を効率化」する社会基盤です。 「公平・公正な社会を実現」 これまでは医療、福祉、高齢、障がいなどそれぞれの制度で、サービス給付や支給金が行われていた為に、二重取りなどの「不正受給」や「脱税」がすぐにわからない事もありました。情報を一元化する事で、所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなる為に、不正を防止する事ができます。 「国民の利便性の向上」 「医療保険証」「介護保険証」「年金手帳」など、同じ社会保障の枠組みでも管轄省庁が違い、それぞれで「被保険者番号」などが設定されていた為に、行政の手続きの際には、複数の証書や書類を添付しなければいけませんでした。それが一つの番号で管理せれて、行政手続が非常に簡素化されます。また、自分の情報の扱われ方や各種社会保険料の支払い等を自宅のパソコンなどで確認する事が出来るようになります。 「行政の効率化」 当然、情報量の効率化によって行政での、労力が大幅に削減されます。複数の担当課で分散されていた情報を一覧で見ることで、業務の間での連携が進み、作業の重複などの無駄が削減されるようになります。 マイナンバーはいつから適用? 平成27年10月から、12桁のマイナンバーが通知されます。対象は中長期在留者や特別永住者などの外国人も含む、住民票を有する国民に「通知カード」が発行されます。 平成28年1月から、各種行政手続にマイナンバーが必要になります。 個人情報の漏洩などがない限り、基本的には番号は一生変更されません。 マイナンバーはどこで利用? 市役所や公共団体などの行政手続きの場面で利用されます。医療保険・介護保険・年金・生活保護・雇用保険・児童手当などなどの給付の際に、申請書等にマイナンバーの記載を求められることとなります。 また、民間企業においても、健康保険や厚生年金の加入手続や、源泉徴収からの税金を納入の際に必要となります。そのため、会社にお勤めの方は、勤務先や金融機関にご本人やご家族のマイナンバーを提示する必要があります。 「地域包括ケアシステム」構築の要として 事務手続きに関してだけでも非常なメリットがあるマイナンバー制度ですが、それだけでない大きな効果が期待できます。それが「医療・介護連携等によるサービスの向上」です。 病院などで受診した診療情報は、最終的には「医療保険者」の元では一本化されていますが、受診した月の翌月にならないと情報が集まりません。病院や診療所など複数の医療機関や、内科、整形外科、眼科など複数科にかかっている場合には、情報がそれぞれの医療機関でバラバラに扱われており、本人が申し出なければ他科受診した事すらもわかりません。特に「認知症」の方などは他の病院にかかっている事を正確に伝えられず、「同じ薬」や「成分の似た薬」の重複投与をしてしまう事も非常に多くありました。また介護サービス事業者にとって、医療機関や医師に話を聞く事は敷居が高く感じられている事もあり、正確な医療情報を網羅する事は困難になっていました。 「診療情報」、「薬剤情報」、「介護サービス情報」、「検診情報」等を一覧出来る事によって、個人をより包括的にケア出来る事が期待できます。その他にも「医療保険資格の有無をオンラインで確認」「予防接種履歴の確認、他自治体でも情報共有」などの効果も期待できます。 次年度の介護保険改訂でも「地域包括ケアシステム」の構築が大きなテーマとしてあげられています。詳細は別の機会にご紹介いたしますが、医療と介護の連携した切れ目の無いサービスを実現する事によって、施設ケアやから、在宅ケアへシフトしていくシステムづくりです。 マイナンバーによる情報一元化はこの「地域包括ケアシステム」構築にとっても、困難であった医療・介護の情報共有をズバッと解決してスムーズに連携を図る、非常に大きな要の事業になる事が期待できます。