2025年問題にむけて
2014.10.13
団塊の世代が75歳以上になり、4人に1人が高齢者となる、2025年問題。これからの介護を考える上で大きな焦点となり、介護保険制度の改定や地域包括ケアなどのシステムづくりの主題となっています。 介護職員については、これから10年で100万人の増員が必要と厚生労働省は試算しています。現在の介護職の数は約150万人で、2000年の約55万人から、15年で約100万人の人員増が行われてきました。しかし、これからの10年では同様の伸び率が得られる事は難しいと考えられます。 介護保険制度が開始された2000年当初は、新しい産業として注目され、ホームヘルパー教室や介護福祉士養成校が各地に出来ていました。介護事業所も次々に創設されていく中で、簡単に資格が取れて9割が就職出来る事から中高年の再就職先としても注目され、介護職員が増員されていきました。 制度開始に伴い、とにかく介護職員が必要であった時期には、質を問わず量産が必要でした。特にヘルパーは4か月程の講習で試験もありませんでした。しかし介護事業所が増えていく中で、サービスの質が問われ、権利擁護の視点からも第3者委員会の設置などが行われ、介護職員の質も問われていきました。結果ヘルパー資格は介護福祉士に統一され、介護福祉士資格のカリキュラムや資格取得の難易度も上がられました。これからの介護職は一定のレベルも求められ、資格取得も10年前より困難となります。更に厚生労働省は4割を介護福祉士にしようと求めています。介護業界、そして利用者にとって本当に良い意味での前進ですが、これから10年の介護職の増員には大きな足枷となってしまう事となる事は考えられます。 そして最も重大なネックは、介護職員の業務内容に対する待遇の低さ、給与の低さです。排泄介助や夜勤業務、リスクのある食事介助や入浴介助など、介護の仕事は体力的・精神的なハードさと、一歩間違うと命に関わる責任の重さがあります。それに対して、賃金は常勤職員でも平均20.5万円と非常に安く、離職率も大変高くなっています。常勤職員の約半数、非常勤職員の約7割が3年以内に辞めてしまい、資格をもっていても介護職についていない人も多くおられます。2012年の統計では介護福祉士有資格者数役108万人のうち、実際に資格を生かして働いている人は約63万人となっています。 その現状に対して、人員増だけでなく介護ロボットの導入も検討されています。政府は平成25年6月14日に「日本再興戦略」の中で、介護ロボットの産業の活性化を公表しました。経済産業省を中心にこれから5ヶ年をかけて、安価で利便性が高いロボット介護機器の開発をコンテスト形式で行っていく予定です。すでに、会話型コミュニケーションロボットや、見守りセンサー、パワードスーツ、移乗ロボットなどが開発されています。しかし現状での利用状況は全国7808事業所のわずか0.2%の、16事業所しか導入されておりません。そのうち効果があると答えたのは35.7%、わずか6事業所しかないという結果となっています。導入が進まない原因はコストの高さ、そして介護ニーズとのミスマッチがあります。介護職員が望む補助は排泄・入浴・食事ですが、介護ロボットが担っている多くは移乗や見守り、コミュニケーションです。やはりセンシティブな所が必要な分野には開発が追い付いておらず、まだまだ人の手が必要な様です。更に介護ロボットの導入が介護職の存在意義を脅かすという本末転倒な部分もあります。これからの技術の進歩にもよってニーズのマッチングや、コストの軽減、または政府の補助などが行われていく予定ですが、全てロボットが成り変わる事は出来ないでしょう。 何故なら介護は人と人との関係性の上になりたつものであり、利用者一人一人への個別化したケアは人の手でしか行う事は出来ません。2025年に向けて、介護職員の増員を行っていく為には、介護現場の働きやすい環境整備、働き続けられる賃金を保障していく対策が早急に必要であると思います。介護職員の現状を理解して処遇改善が行われ、誰もが安心して働ける、次世代の若者が介護職に希望を持てる様な業界になっていく事を切実に望みます。 給食サービス、給食委託はセプト