認知症予防の食品について
2014.11.01
近年の高齢者の関心ごとの大きなテーマに「認知症予防」があります。「痴呆症」という差別的な表現から名称が改められたのが2004年「認知症」についての理解やケアはまだまだ歴史が浅く、未開な部分もあります。認知症の類型や診断は進んでいますが、現在の薬物治療では進行を緩めるだけにとどまっています。そこで食事による認知症予防の研究が進み、身近な食品の認知症予防効果が明らかになり再注目されています。認知症予防に有効な食事について、ご紹介させていただきたいと思います。 まずは青魚です。秋刀魚、鯵、鯖などには、脳を活性化するDHA(ドコサヘキサエン酸)がたっぷり含まれています。更に魚油に含まれる「オメガ3脂肪酸」がアルルハイマー病予防に効果がある事が明らかになってきました。ニューイングランドの病院において、半年間で約800人の高齢者を被験者として、食生活の調査と脳の器質検査を行いました。その結果、認知機能を司る機関の萎縮が低い高齢者は、魚、魚油を定期的に摂取していた事が明らかになりました。また「オメガ3脂肪酸」に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)は血液をサラサラにする働きもあります。 魚だけでなく肉の摂取も必要である事も提唱されています。具体的には魚:肉を1:1の割合として、種類の違う動物性タンパク質をバランス良く摂取する事が望ましいとされています。東京都健康長寿医療センター研究所によると、血液検査項目の、アルブミン値、赤血球数、善玉コレステロール値が低い場合は、認知機能が約2倍から約3倍にわたって低くなりやすい結果が出ています。善玉コレステロールの増加の為には、魚介類に含まれる不飽和脂肪酸が効果的ですが、バランスの良い動物性タンパク質の摂取により、低栄養を改善する為には、肉類との均等な摂取が効果的だという事です。 またカレーに含まれる、ターメリック(鬱金)も認知症の治療に役立つ事がわかってきました。最近ではアルコールを飲みすぎた際に、肝機能を増進させ2日酔いを改善させる効能が有名ですが、古くから漢方として親しまれ様々な効能がある生薬です。 そして、最近ダイエット食品としても注目されつつある、「ココナッツオイル」にも、アルツハイマー病の症状改善の効果がある事が明らかになってきました。米国の小児科医、メアリー・T・ニューポート医師は、「ココナッツオイル」の食事療法を提唱して、実際に若年性アルツハイマーの夫に実践を行っています。「ココナッツオイル」摂取後に認知症機能検査を行った結果、わずか4時間後の検査で改善が見られ、会話能力の向上など症状の進行を食い止める結果が見られました。ココナッツオイルに含まれる脂肪酸の多くが中鎖脂肪酸で肝臓においてケトン体に分解されます。アルツハイマー病は脳の神経が変性して萎縮する事で神経細胞が「ガス欠状態」になります。そこにケトン体が入ってエネルギーをつくる事で改善結果が得られると、順天堂大学の白沢卓司教授は解説します。 まだまだ未開な領域の認知症と脳のメカニズムですが、これから研究がすすみ、思わぬ身近な食材の予防効果も発見されていく事でしょう。「医食同源」という言葉がありますが、症状が出てからの薬物摂取よりも、日々の健康をつくっていくものは食事です。将来を見据えて認知症になる前から、高齢期に入る前から、意識的にこれらを摂取して「認知症予防」を行っていってはどうでしょうか?