介護負担と家族ケアについて
2014.11.25
人口の高齢化、都市化による地域社会の変化、地域での繋がりや互助力の低下により、1980年代頃より「介護負担」という問題が深刻化してきました。特に認知症の介護者を抱える家族は、思わぬ言動や行動に困惑し、一生懸命介護をしても「物とられ妄想」などの精神症状により悪者にされて、心身を疲弊させています。介護に伴う、身体疲労、精神疲労によって介護者がうつ病を発症したり、高齢者虐待につながる事も起こっています。介護保険制度でのケアマンジメントの中では、本人および家族の支援という目的があり、家族のレスパイドも重要な支援と考えられています。実際にデイサービスの利用やショートステイの利用は、本人の支援だけでなく、家族の時間を保障しリフレッシュを図る事の目的でも利用されている事も多くあります。
また地域包括支援としても、介護家族のケアが取り組まれる様になってきました。「認知症カフェ」や「介護予防教室」などでは、本人の社会参加だけでなく、介護者家族の悩みを話す場所としても取り組まれていっています。
そして社会保障の先進国であるフランスでは、更に進んだ介護者へのケアが取り組まれています。2014年10月にフランス中部にあるトゥーレーヌにオープンした「休暇村」は、なんと介護生活者専用のバカンス地です。葡萄栽培でも有名なこの地では緑にあふれ、動物と触れ合う事もできます。バリアフリー構造の敷地内では、車イスで移動もでき、プールなども完備されています。居室には介護ベッドも介護され、家族で滞在できる設備が備わり、1家族1週間から3週間を過ごすことが出来ます。介護される方へも介護者へも配慮された設備で介護者へのケアと心のリフレッシュを図る場所として注目を集めています。
これからの更なる高齢化が予測される日本でも、この様な介護者ケアの保養地は必要になってくるのでは無いでしょうか?施設ケアは安心な面はありますが、高齢者本人にとって幸せな事は、在宅で家族とともに暮らし続ける事です。その為にも、ぜひフランスに習いこの様な保養地の開発をすすめて、介護者も楽しみを見つけながら介護生活を続けられる社会つくっていってもらいたいと思います。