有料老人ホーム・福祉施設の給食委託、保育園・幼稚園の給食サービス

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特養待機者の現状と介護保険改訂


厚生労働省が2014年春に発表した統計では特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の入居待ち待機者が、約52万4000人になるそうです。4年前の統計に比べ、約10万人が増えている事になります。全国にある特養の総数は約8000弱、入居者数は51万7000人です。施設増設も行われていますが、特養利用を必要とする高齢者の数には追い付いておらず、差が広がり続けている事が表れています。 様々な高齢者施設や住宅が増えていく中で、何故特別養護老人ホームに希望が集中するのでしょうか?それは入所料や月々の支払い額が圧倒的に安いからです。入所一時金や敷金が数十万~数千万必要な施設もありますが、特養では無料です。月額料金も他施設では20万円以上の所、特養では所得状況によって減額もあり、約5万~15万円程度で入所が可能です。年金収入だけで月額20万以上ある方は、元公務員、元大企業役職者や、軍人恩給・遺族年金受給者などの限られた方になります。その為多くの方は貯金を切り崩しながら、有料老人ホームなどに入所され、貯金残額が入所していられる期間となります。貯金が尽きれば特養に入る算段をたて、他施設入所をしながらの、特養待機者となります。 では特養待機の人にはいつ順番がまわって来るのでしょうか?それは現在特養に入っている人の状態が悪化して長期入院になるか、亡くなった時です。なかなかの狭き門、空かずの扉なのです。新しく施設が増えれば順番がまわってくるのですが、一床のベッドを増設する為には2000万円程かかり、その費用を公費から負担する事が難しく簡単に増やせない状況となっています。特養の待機者は増え続けていく一方なのです。 そこで政府は2015年4月の介護保険法改定において「特養入居要件を要介護3以上」に限定する予定です。現在の待機者には要介護2以下の方々も含まれているので、表面的には約18万人の待機者が減る事になります。介護の必要性の高い方を優先的に入居できる点では、合理的な側面もあります。 特養待機者の入所順番は、申し込みの順では無く介護の必要性や緊急性に応じて決められています。自治体の定めた点数基準に従って、介護度の高さや、介護サービスの利用の多さなどから判定されて点数の高い人ほど、入所順番が優先されます。当然介護度の高い人ほど点数は高くなっています。 しかし、実際の入所必要性や緊急性は点数だけで決められるものではなく、介護度が低くても入所が必要なケースは多々あります。身体的に自立して生活が行えていれば介護度が低く見積もられる事がありますが、表面的には見えにくい問題行動を抱えている方、暴力や徘徊などの行動がある認知症の方も少なくありません。また本人ではなく家族が精神疾患を抱えているケースなども、本人の介護度だけで図れない問題です。介護保険改定後の例外事項として、要介護2以下の認知症高齢者を入居できる付帯事項もありますが、施設ごとに多数の待機者を抱える中ではあくまで例外の域をでません。 介護者にとって要介護度の重さ、身体介護の必要度よりも精神的な荷重の方が大きな負担となります。寝たきりに近い状態よりも、身体的に丈夫で介護拒否が強い方が、ストレスも大きく、介護うつや虐待の発生要因にも発展しかねません。また親子関係にも様々な歴史もあり、根の深い問題を抱えている家庭もあります。施設に入所をするだけの社会的な理由を抱えながら、特養以外の施設に経済的な理由で入れずにおられる方は多く潜在しています。 やはり特養待機者解消の為には、入所基準を変えるだけの表面的な対策だけでなく、特養を本当に必要な方の数だけ増設し整備していく事が求められます。その事が激動の時代を生き抜き、現在の社会を象り支えてきた高齢者に対する、国の責任という事では無いかと思います。